もくじ
賛否両論
普天間基地の辺野古移設をめぐる賛否それぞれの立場からの主な主張は以下の通りです。
辺野古移設への反対意見
- 反対の民意を受け止めるべき
- 移設計画を白紙から見直しアメリカと交渉すべき
- 地元の理解なしでは基地の運用に支障をきたす
- 軍事的必然性よりも政治的都合ではないか
- 県内移設では沖縄の負担軽減といえない
- ジュゴンやサンゴなど近海の生態系に影響するおそれ
- 国と沖縄県が法的に争えば両者の溝は深くなる
- 埋め立て海域には軟弱地盤があり工事は困難
辺野古移設への賛成意見
- 地元には容認の意見もある
- 辺野古移設よりも優れた代替案がない
- 安保政策は政府が判断し責任を持つもの
- 沖縄への再配置が米軍の抑止力維持に必要
- 過疎地への移設で沖縄の基地負担は軽減する
- 移設が難航すれば普天間の危険性が固定化される
- 政府は沖縄県に法的措置で対応すべきだ
- 軟弱地盤は一般的な工法で対応が可能
普天間基地の辺野古への移設計画については、沖縄県民が反対している民意は何度も示されていて、明らかです!政府は移設工事をただちに止めるべきです!
じゃが、普天間基地の危険性をいち早く除去するためにも、アメリカとも合意した辺野古への移設が「唯一の解決策」じゃよ。
「唯一の選択肢」っていう言葉はもう聞き飽きたわ。政府はよく「真摯に」とか「丁寧に」とか言うけど、言葉とは裏腹に、移設工事を強行してるじゃない。
そもそもな、国防は国の専権事項やで。反対するのは簡単やけど、じゃあ代替案を示してもらいたいもんやで。
たしかに、辺野古への移設計画を白紙から検討し直すのは現実的ではないね。だけど、地元の協力がないと円滑な基地の運用もできないよ。
普天間基地の辺野古移設をめぐる沖縄県と国の対立は泥沼化しています。
中国の軍事的な台頭や海洋進出など、日本をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中で、国防のあり方や沖縄の基地負担問題などを国民全体で考えていくことが重要です。
これまでの経緯
普天間基地は「世界一危険な飛行場」
普天間基地は、沖縄県の宜野湾市にある在日アメリカ軍・海兵隊の基地です。
民家などが密集する市街地の真ん中にあり、「世界一危険な飛行場」とも言われています!
2004年8月には、基地近くの沖縄国際大学にヘリコプターが墜落する事故も発生したんだよね。
その普天間基地の危険性をなくすために、沖縄県の名護市「辺野古」に基地を移すことが計画されたんや。
基地を移すっていうけど、つまりは同じ沖縄県に新たに基地を造るってことよね。
もちろん反対意見もあったが、沖縄県の知事も移設先となる名護市の市長も、辺野古への移設に合意しておった時期もあったんじゃ。
民主党政権「県外移設」発言をきっかけに迷走
辺野古移設をめぐる事態が迷走したのは、2009年に当時の民主党・鳩山代表が「最低でも県外への移設」と発言したのがきっかけでした。
その年の夏の衆院議員選挙で自民党から政権交代。鳩山政権が誕生したのよね。
基地負担に苦しむ沖縄の人にとっては、普天間基地を沖縄県の外に移設することへの期待が高まりました!
せやけど鳩山政権はけっきょく別の移設先を見つけられず、元の案に戻ったんや。鳩山氏の発言は、罪深いで。
こうした中、辺野古への移設にいったん合意しておった沖縄県知事も名護市長も、辺野古移設に反対する立場に変わってしまったんじゃ。
辺野古埋め立てをめぐり、国と県が法廷闘争
安倍政権は辺野古への移設計画を進めるため、辺野古の海の埋め立てを沖縄県に申請しました。2013年12月、沖縄県の仲井真知事(当時)は埋め立てを承認しました。
仲井真知事は3年前の知事選挙では「県外移設」を掲げていたから、この判断は批判されたわ。
翌年、2014年11月の沖縄県知事選挙では、辺野古移設に反対する翁長雄志氏が仲井真知事を破って当選したよ。
新たに沖縄県知事となった翁長知事は2015年10月、仲井真知事による辺野古の埋め立て承認には瑕疵(欠陥)があったとして、取り消しました!
この「取り消し」処分をめぐって、政府と沖縄県の対立は法廷闘争へと発展したんじゃ。
2016年12月、最高裁は沖縄県による「取り消し」処分は違法だと判断したで。つまり、国側が勝ったんや。
法廷闘争の間ストップしていた辺野古への移設工事は再開してしまったわ。
沖縄県が辺野古の埋め立て承認を撤回
翁長知事は2018年7月、仲井真知事による埋め立て承認を「撤回」する考えを表明しました。
それは埋め立て承認の「取り消し」についてであって、今回は「撤回」だから別の話です!
なんだか難しい話ね・・翁長知事はその後、2018年8月8日に亡くなったわ。すい臓がんの手術を受け、治療を続けていたのよ。
沖縄県は2018年8月31日、埋め立て承認を正式に「撤回」したんじゃ。
その理由について沖縄県は、埋め立ての承認後に新たに軟弱な地盤が見つかったことや、沖縄防衛局が策定したサンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があることなどを挙げておる。
玉城知事が誕生。政府は埋め立て海域への土砂投入開始
2018年9月30日、翁長知事の死去に伴う沖縄県知事選挙が投開票されました。
野党が支援する前衆議院議員の玉城デニー氏が当選しました!玉城氏は翁長知事の「後継」として、もちろん辺野古への移設反対を訴えています!
与党などは前の宜野湾市長の佐喜真淳氏を支援したけど、勝てへんかったな。
そんな中、沖縄県による辺野古の埋め立て承認「撤回」をめぐっては、進展があったのう。
行政不服審査法に基づいて、防衛省が国交省に申し立てたんだよね。
申し立てを受けた国交省は2018年10月、沖縄県の埋め立て承認「撤回」の効力を停止したわ。
沖縄県と政府が対立している事案を、政府の一員である国交省が判断するなんておかしいです!
法律は法律やから。言わせてもらえば、国の専権事項である安全保障の足を引っ張る沖縄県の姿勢もどうかと思うで。
沖縄が反発する中、政府は移設工事を再開したね。2018年12月にはついに、辺野古の埋め立て予定海域への土砂投入が始まったよ。
沖縄県民投票で辺野古移設「反対」多数
2019年2月24日、普天間基地の辺野古移設をめぐって、辺野古沖の埋め立てへの賛否を問う沖縄県民投票が行われました。
投票率は52.48%で、
「反対」43万4273票
「賛成」11万4933票
「どちらでもない」5万2682票
でした!
「反対」が有権者の4分の1を超えたわ。条例の規定に沿って、玉城知事は安倍総理とトランプ大統領に結果を通知することになったのよね。
勝手にすればええけど、県民投票の結果に法的な拘束力はないんやで。
安倍政権は県民投票の結果を受けても、移設工事を進める方針は変えないみたいだね。
政府と沖縄県の対立はいっそう深まったのう。辺野古の埋め立て海域の「軟弱地盤」問題も対立が長期化しそうじゃ。
軟弱地盤は、沖縄県が埋め立て承認を「撤回」した時に挙げた最大の理由です!
軟弱地盤は「マヨネーズ並み」とも言われているわ。工事は問題なくできるのかしら。
政府は「一般的で施工実績が豊富な工法で対応は可能」と説明しとるけどな。
地盤の改良工事のために、国は設計計画を変更する必要があるけど、沖縄県側は認めないだろうね。
国と沖縄県の対立が長期化する中、普天間基地が固定化されて、基地の危険性が取り除かれない状態が続いてしまっています。
主要5紙のスタンス
朝日新聞反対
朝日新聞は、辺野古への移設にもちろん反対です!
埋め立てを強行しても、いずれ行き詰まるのは目に見えている。政府は工事を止め、沖縄県が求める対話に応じるべきだ
那覇市で16日に開かれた県民大会では「日本が民主国家ならば国策の遂行が民意と無関係であってはならない」との決議が採択された。この訴えに向き合うことこそ、政府の責務である。工事の強行ではない
(2019年3月26日 社説『辺野古工事 展望なき政府の強硬策』より)
と指摘しています!
毎日新聞反対
毎日新聞も反対よ。
普天間飛行場を本土に移そうとすれば激しい反対運動に直面することが予想され、政治的なハードルは高い。それを避ける意図が「唯一」という言葉の裏に見え隠れするから、政府に対する沖縄の不信感が増幅されてきたのではないか
首相は「県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」と言いながら、工事を続行するのは矛盾している。まずは「唯一」の固定観念を正し、沖縄の不信感を解きほぐすところから始める必要がある
(2019年2月28日 社説『辺野古めぐる新状況 「唯一」の固定観念を正せ』より)
と指摘しているわ。
日経新聞やや賛成
日経新聞は、
普天間の固定化を避ける緊急避難的な措置としての県内移設はやむを得まい。移設計画が浮上して20年以上がたった。白紙から検討し直すのは現実的ではない
(2019年2月25日 社説『辺野古打開へ国と沖縄は対話の糸口探れ 』より)
と見ていて、辺野古への移設計画そのものには反対していないんだ。だけど、
その一方で必要なのが、基地負担が減っていくという実感を沖縄県民に与える努力だ。基地はつくればそれでおしまいではない。県民の協力がなければ、円滑な運用は望めない。県民投票の結果に法的拘束力はないが、全く無視ではますます関係は悪くなる。
例えば、国が「日本の安保は全国が等しく担うべき課題だ」と声明してはどうだろうか。基地の偏在の解消に一生懸命、取り組む姿勢が伝われば、沖縄県民の心情も徐々に和らぎ、話し合いの機運も生まれるのではないか。
東アジアの安全保障環境が厳しさを増すいまこそ、国防のための施設がもたらす負の側面にどう取り組むのかを、すべての国民が真剣に考えねばならない
(同上)
と、沖縄の負担軽減への取り組みを提言しているよ。
読売新聞賛成
読売新聞は、辺野古への移設計画に賛成じゃ。
複雑に利害が絡む国政の課題は、有権者に直接問うのではなく、国政選挙で選ばれた国会議員に委ねるべきである
代替案もなく、辺野古移設反対を唱え続ける知事の姿勢は、無責任と言わざるを得ない
(2019年2月26日 社説『沖縄県民投票 着実な負担軽減へ混乱回避を 』より)
と、沖縄県側を批判しておる。その上で、
移設計画は、名護市の米軍キャンプ・シュワブを拡張し、海上にヘリや輸送機の滑走路を造る。飛行ルートは海上が中心だ。住宅や学校に囲まれた普天間飛行場と比べ、危険性は格段に低下する。
政府は、県と対話を重ね、辺野古移設の意義を粘り強く訴えていく必要がある
(同上)
と指摘しておるんじゃ。
産経新聞賛成
産経新聞も、辺野古への移設計画にもちろん賛成やで。
移設を進めることができなければ、市街地に囲まれた普天間飛行場の危険性を取り除くことはできない。中国などの脅威から日本を守る、抑止力を保つことにも反する。沖縄県民を含む国民の安全を損なうことにつながる
外交・安全保障政策は政府の専管事項であり、米軍基地をどこに設けるかは、政府以外には決められない。
移設は県民の問題であるのと同時に、県民を含む国民全体の問題だ。県民の「直接の民意」だけで左右することはできない
政府・与党は辺野古移設を着実に進めるとともに、日本の安全にとって移設が重要であることを、県民に粘り強く説く責任がある
(2019年2月25日 社説『沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け』より)
と指摘しとるで。