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【読み比べ】政府が決定した「骨太の方針」読売・産経も含め5紙とも辛口評価

政府は先週金曜日、経済財政運営と改革の基本方針である「骨太の方針」や成長戦略を閣議決定しました。
今日までに主要5紙が社説を掲載しています。
朝日新聞はきょうの社説『骨太の方針 負担論議から逃げるな』の中で、

示されたメニューは比較的異論が少ないものばかり。難題に向き合おうという政権の意気込みは感じられない。これでは「骨太」の名に値しない

と辛口です。
「骨太の方針」では、30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」に対する支援を強化する方針を打ち出しましたが、

目標を掲げるのは結構だ。だが、大事なのは、それをどう実現するのかだ。参院選向けのスローガンでは困る

と指摘。
社会保障をめぐっては、

負担の論議から、いつまで逃げ続けるのか

人口減少、超高齢化が進むと、日本経済はどのような姿になるのか。その時に社会保障の給付と負担はどんな選択肢があるのか。参院選に向けてしっかり論じてこそ、将来不安を拭うこともできる。目を背けていてはならない

と批判しています!

毎日新聞もおとといの社説『安倍政権の「骨太の方針」 形骸化が一層進んでいる』の中で、
「骨太の方針」が70歳までの就業機会を確保する方針を掲げたことに対して、

寿命が延びれば、それに応じて、老後生活への不安も膨らむだけに、その対応策も必須だ。
にもかかわらず、そうした不安に向き合おうとしていない。高齢者にも働いてもらって、年金や医療など社会保障の支え手を広げる利点が強調されているだけだ

と辛口だわ。
「骨太の方針」は2001年に当時の小泉政権が導入したものだけど、

第2次安倍政権になって、ダイナミズムが失われている

安倍政権による「骨太の方針」の策定は7回目となるが、今回も耳当たりの良いキャッチフレーズが並ぶ一方で、難題に切り込まなかった。骨太の方針は形骸化が進むばかりだ

と厳しく批判しているわよ。

朝日新聞や毎日新聞が安倍政権を批判するのはお決まりだけど、経済を重視する日経新聞はどう評価しているのかニャ?
おおむね同じような評価だネ。
日経新聞はおとといの社説『厳しい改革を忘れた骨太の方針 』の中で、

7月の参院選を意識したのか、就職氷河期世代への支援や最低賃金上げなど有権者に聞こえのよい政策が並んだ。消費税率10%引き上げ後の社会保障・財政改革など国民の負担増につながる厳しい改革には踏み込まなかった

と批判的だヨ。
企業に変革を促した成長戦略に対しても、

民間の変革努力は必要だが、政府の改革の取り組みは十分だろうか。巨大IT(情報技術)企業との公正競争を促す組織・法制整備、業態別の縦割り金融規制を見直す法整備などを盛り込んだが、成長を促す改革は迫力不足だ

と辛口だネ。
さらに、

何よりも問題なのは「経済財政運営と改革」という主題がぼやけてきていることだ

社会保障の持続性確保には、歳出抑制や負担増などの議論は避けられない。政府は国民に事実を正直に説明し政策を訴えるべきだ

と指摘しているヨ。

日経も朝日・毎日と同じような論調なんだニャ。
じゃあ、安倍政権と主張が重なることが多い、読売新聞や産経新聞はどう評価しているのかニャ?
読売新聞はきのうの社説『成長戦略 民間の挑戦促す原点に戻れ』の中で、「骨太の方針」と一緒に閣議決定した成長戦略について、

成長戦略は、技術革新や生産性向上を通じて民間活力を引き出すことが狙いだ。金融、財政政策に続くアベノミクスの「第3の矢」だが、まだ成果は乏しい

経済の地力を示す潜在成長率は、なお1%程度の低水準だ。
昨年の成長戦略で打ち出した152施策も、目標達成のメドが立ったのは3分の1にとどまる。原因を究明し、スピード感を持って政策を実行してもらいたい

と、やはり辛口評価じゃよ。表現がやんわりしておるところに、読売らしさを感じるがのう。

「政府4計画」は重複が多く、役割分担も不明確だ。政策の優先順位を整理し直すべきである

と指摘して社説を締めくくっておる。

安倍政権は基本的に応援しとるけど、ビシッと言う時はちゃんと批判すべきやで!
産経新聞はおとといの社説『骨太方針 改革断行する原点に戻れ』の中で、

負担増などの痛みを伴う改革について具体的な言及はほとんどない。むしろ、世論受けしそうな政策ばかりを並べた印象である。これでは「骨太」というより「骨細」ではないか

給付と負担の在り方を含めた社会保障の総合的かつ重点的な政策は来年の骨太で行うなどとしている。参院選前だから踏み込まないのであれば問題だ

とバッサリ批判しとるで!

第2次安倍政権発足後、7度目の骨太と成長戦略である。過去の成長戦略152項目のうち約4割は進捗が遅れている。これらの妥当性を含めて、不断の検証が必要である

と、厳しく叱咤激励しとるで!

うわー、サンちゃんと珍しく意見が合って、わたし感動です!
安倍政権を支持することが多い読売新聞や産経新聞も辛口ということは、やはり「骨太の方針」の内容は乏しいという見方で間違いなさそうですね。
アベノミクスの「第3の矢」に位置付けられた成長戦略は、日本の潜在成長率の向上になかなか結びついていないのが現状です。

【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

朝日新聞

毎日新聞

日経新聞

読売新聞

産経新聞

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