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【社説比較】「テロ対策」遅れで原発が運転停止へ(読売も社説掲載)

原子力規制委員会は先月24日、原発のテロ対策施設が期限までに設置できない場合、原発の運転停止を命じることを決めました。
この件をめぐっては翌25日に毎日新聞と日経新聞が、その翌日には産経新聞が社説を掲載していましたね。
このサイトでも先月25日の記事26日の記事で各社の社説を取り上げたニャ。
規制委員会の判断は当たり前だわ。
毎日新聞は、

安全確保に猶予は認められない。規制委の決定は当然のことだ

原発の安全対策に終わりはない。対策の手を抜くと、重大な事態を招く。これは福島第1原発事故の教訓だ

原発が停止しても、電力不足を心配する必要がないことは、3・11後の経験から明らかだ。むしろ、原発はテロへの備えが脆弱(ぜいじゃく)であることを見つめ直す機会とすべきだ
(毎日新聞 2019年4月25日社説『原発のテロ対策遅れ 安全に猶予は認められぬ』より)

と指摘したわ。

日経新聞も、

停止命令は厳しい措置だが、規制委の判断は筋を通したといえる

として、今回の判断に理解を示しているヨ。
ただね、

規制委も基準のあり方を再考する余地はあろう。テロ対策は常設の機器のほか、ポンプ車など可搬型設備も加えて多重に備えることになっている。これらを総合的に勘案し、テロ対策の有効性を判断する手法も検討すべきだ
(日経新聞 2019年4月25日社説『原発のテロ対策に甘えは許されない』より)

とも指摘しているヨ。

その通りやで。
産経新聞も、

電力各社は原発の安全性を高めるため、対テロ施設の完成を急がねばならない。各社がそろって期限に間に合わないという事態には驚くしかない。規制委が電力会社の見通しの甘さを批判するのは当然

と電力会社を批判しとるけど、

規制委自身が電力会社との意思疎通を欠いていたことは否めない。当初は個別の事情を聴いて判断する姿勢をみせていたはずだ。新規制基準の合理性を含めて検証すべきである

電力各社が対策施設の建設を申請してから認可を得るまでには数年を要している。規制委との協議で工事内容が大きく変更された事例も多い。一律で期限を区切るのではなく、こうした事情も考慮して完成時期を決めることが現実的である
(産経新聞 2019年4月26日社説『原発の対テロ施設 安全性向上へ完成を急げ』より)

と、原子力規制委員会や規制のあり方に対しても苦言を呈したんやで!

こうした中、読売新聞がきょうの社説でこの問題を取り上げました。
読売新聞は、

遅れの原因は、電力各社の見通しの甘さにある。工事では、山を切り開き、トンネルを掘って要塞ようさい並みの施設を造る。難しい工程が続くが、その前提で工事計画を立てていたのか、疑問が残る。結果として、全原発での期限超過は異常という他ない

と、電力会社の見通しの甘さを批判しておる。
それと同時に、

対策施設の計画が基準に適合しているかどうかを審査するのに時間がかかっていることも見逃せない。着工の遅れにつながる。規制委と電力各社は、審査の円滑化に努めることが欠かせない。
両者のコミュニケーション不足は極めて深刻である

更田豊志委員長は、運転停止の方針を決めた会合で、「現状にとどまることなく安全性を向上させるため」と理由を述べた。
東京電力福島第一原発の事故を踏まえれば、必要な対策は先送りにできないとの考え方だろう。これが、電力各社に伝わっていなかったのではないか
規制委と電力各社は対話を深めて、安全に原発を利用できる環境の構築を目指す必要がある。
(読売新聞 2019年5月8日社説『原発テロ対策 規制委は各電力と対話深めよ』より)

として、規制委員会と電力会社側とのコミュニケーション不足を問題視しているんじゃ。

コミュニケーション不足って・・テロ対策に必要なものを先送りできないなんて、当たり前じゃないですか!
産経新聞ほどではないけど、電力会社側の肩をもつニュアンスが強いニャ。
原発の稼働に歯止めをかけることにつながる規制委員会の判断について、最も評価した毎日新聞は脱原発派で、最も苦言を呈した産経新聞は原発活用派です。
原発に対する考え方の違いが、社説に色濃く反映されていますね。
朝日新聞が社説を掲載すれば5新聞すべてそろいます!

【朝刊比較】5紙の1面記事&社説一覧

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