韓国のムンジェイン大統領と北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長は、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設「平和の家」で、10年半ぶり3回目となる南北首脳会談を行った。北朝鮮の最高指導者が軍事境界線を越えて韓国側に入ったのは史上初めて。
両首脳は会談後、共同宣言「パンムンジョム宣言」に署名した。
共同宣言では、北朝鮮の核問題について、「南北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認し、非核化のための国際社会の支持と協力のために積極的に努力する」とした。ただし、北朝鮮が核兵器を放棄する具体的な手法や時期については言及がなく、6月までに実施される見通しの、アメリカと北朝鮮の首脳会談における議論にゆだねられた形。
共同宣言ではまた、朝鮮戦争について「南北は休戦65年のことし、終戦を宣言して休戦協定を平和協定に転換するために、南北とアメリカの3者、または南北と米中の4者会談の開催を積極的に推進することになった」とした。
このほか、朝鮮戦争などで南北に離ればなれになった離散家族の再会に向けて赤十字の会談を行うことや、ムン大統領が今年秋に北朝鮮の首都ピョンヤンを訪問することなどで合意した。
両首脳は署名式の後にそろって記者発表した。
ムン大統領は、「朝鮮半島ではもはや戦争はなく、新たな平和の時代が開かれたことをともに宣言した」「私とキム委員長は、完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現することがわれわれの共通目標であることを確認した」などと述べた。
キム委員長は、「過去の南北間の合意のようにうまくいかなかった歴史が繰り返されないよう、われわれ2人がひざを突き合わせて緊密に協議した。必ず成し遂げられるよう努力していく」などと述べた。

南北首脳会談についてアメリカのトランプ大統領は、「南北が朝鮮半島の完全な非核化を目標とすることを表明し、勇気づけられた」と評価する一方、「われわれは目標を追求する上で過去の政権の過ちは繰り返さない。非核化が実現するまで圧力は続く」などと述べ、北朝鮮への圧力を維持する考えを示した。
また、「私は数週間後にキムジョンウン朝鮮労働党委員長と会うだろう。会談を楽しみにしており、生産的なものになることを望んでいる」と述べ、米朝首脳会談にむけた期待感を示した。
また、安倍首相は、「北朝鮮をめぐる拉致・核・ミサイル問題の包括的な解決に向けた前向きな動きと歓迎する」「今回の会談を受け、そして米朝首脳会談を通じて、北朝鮮が具体的な行動をとることを強く期待する」などと述べた。
中国外務省の報道官は、「北朝鮮と韓国の双方が、今回の会談で一致したことを実施し、和解と協力を持続的に進めることができると信じている」「関係各国が対話の流れを維持し、力を合わせて朝鮮半島の非核化と問題の政治的解決のプロセスを推進することを望む」などと評価する談話を発表した。
ロシア外務省は、「双方の国民を和解させ、強固な結びつきを作り出すための重要な一歩だった」「北東アジアの平和と安定に向けた問題を話し合う多国間の対話が再開されることを望む」などと評価する声明を発表した。