アメリカのトランプ政権は、中国による過剰生産により鉄鋼やアルミニウムが安く輸入されていることが安全保障上の脅威になっているとして、輸入制限措置を発動した。アメリカに輸入された鉄鋼には25%、アルミニウムには10%の高い関税を課す。
カナダ、メキシコ、EU、オーストラリア、韓国、アルゼンチン、ブラジルの7つの国と地域については、安全保障上重要な関係があるとして5月1日まで適用を除外すると発表した。
世耕経済産業大臣は「日本も対象となる形で発動されたことは極めて遺憾だ」とした上で、対象からの除外を粘り強く働きかけていく考えを強調した。また、「日本がアメリカへ輸出する鉄鋼製品はかなり品質が高く置き換えることができないものが多い。品目別に除外される可能性があるし、されなくても、関税がかかった状態でも買わざるをえない状況になるのではないか」と述べた。

また、トランプ大統領は、知的財産権の侵害などを理由に、中国に対して通商法301条に基づいて制裁措置を発動することも決めた。
中国外務省の報道官は記者会見で、「典型的な貿易の保護主義で中国は断固として反対する。中国、アメリカ、そして全世界にとって不利益で非常に悪い先例を作った」「貿易戦争では間違いなく真っ先にアメリカの消費者や企業、金融市場が損害を受ける」などと強く批判した。そして、「お返しをしなければ失礼にあたる。われわれは最後までつきあう」と述べ、制裁措置が発動されれば対抗措置で応じる考えを示した。
今後アメリカと中国の間で貿易摩擦が激化することが懸念され、世界各地で株価が下落した。日経平均株価も一時1000円以上急落し、終値も2万617円86銭と、約5か月ぶりに2万1000円を割りんだ。
また、ニューヨーク株式市場・ダウ平均株価は400ドル以上値下がりし2万3533ドル20セントで取り引きを終え、今年の最安値を更新した。