佐川氏は財務省の前の理財局長で、去年の通常国会では、大阪・豊中市の国有地を学校法人「森友学園」に売却したことについて答弁を担当。
答弁では、学園側との交渉の記録について「廃棄した」などと説明してきた。しかし、今年2月には近畿財務局内での法律上の相談をした際の内部文書が見つかったほか、国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると朝日新聞が報じた。
また、学園側との交渉については「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいという希望があったこともない」などと答弁してきた。この点についても、その後、学園側との間で事前に金額をめぐるやり取りがあったことが明らかになり、佐川氏の答弁が虚偽だったのではないかと指摘されてきた。
こうした佐川氏の理財局長当時の対応に批判が高まる中、政府は佐川長官の辞任を決定した。
麻生財務相は記者会見で、「佐川長官から、理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと、行政文書の管理状況でさまざまな指摘を招いていることなどを踏まえて、長官の職を辞し退職したいという申し出があり、本日づけで退任した」と述べた。
また、森友学園への国有地売却に関する文書が書き換えられた疑いがあると報じられていることについては、そうした文書の有無を来週早々にも明らかにしたいという考えを示した。

一方、森友学園との交渉にあたった財務省近畿財務局の担当部署の男性職員が、今月7日に神戸市内の自宅で死亡しているのが見つかった。遺書のようなメモがあり、警察は自殺とみて調べている。
麻生財務相は会見で「職員が亡くなられたことは大変痛ましく、残念だ」と述べる一方、自らの進退について「特に今は考えているわけではありません」とした。